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石橋先生の本が出版されました

軽度外傷性脳損傷

SCOM-035 金原出版
軽度外傷性脳損傷 石橋徹 SCOM-035 鞭打ち損傷が軽微な外傷であると考えるのは誤りである。
 なぜならば、俗に言う鞭打ち損傷のなかに、多くの脳損傷が含まれているからである。ところが、本邦においては、過去40年近くこの脳損傷が注目されることがなかった。注目されなかった脳損傷の名前は、軽度外傷性脳損傷mild traumaticbrain injury(mild TBI)である。この脳疾患は、外傷性脳損傷のうちでも、中等度外傷性脳損傷moderate traumatic brain injury(moderate TBI)や重度外傷性脳損傷severe traumatic brain injury(severe TBI)と比較すると軽症とされるが、受傷直後の意識喪失LOC、外傷後健忘PTA、グラスゴー昏睡尺度GCS等の評価から軽度と呼ばれているだけであり、実際の臨床経過は必ずしも軽度ではなく、中等度、重度と呼ばれるに値する例がみられる。そして、軽度外傷性脳損傷mildtraumatic brain injury(mild TBI)は外傷性脳損傷の70%から90%を占める頻度の高い脳疾患であり、その10%から20%、報告によっては30%が慢性化する疾患である。軽度外傷性脳損傷mild traumatic brain injury(mild TBI)は、現在、交通事故以外でも労災事故、スポーツ外傷、転倒、転落事故、暴行、家庭内暴力、乳児揺さぶり虐待で多発しており、国によっても異なるが人口10万人あたり100人から550人の患者が発生しており、全世界では年間1、000万人を超す患者が出ているといわれている。アメリカでは1996年に外傷性脳損傷法が施行され、2000年、2008年にその修正案が可決されて増え続ける外傷性脳損傷に対する対策がとられている。文明のグローバル化を考えると、本邦にも軽度外傷性脳損傷mild traumatic brain injury(mild TBI)は諸外国と同様に存在しているはずであるが、今日まで軽度外傷性脳損傷mild traumatic brain injury(mild TBI)が本邦の学会の話題に上ったのを聞いたことがない。5年ほど前から、整形外科医の筆者のまわりに85名の軽度外傷性脳損傷mild traumatic brain injury(mildTBI)の被災者が集まって来られた。皆さんのお話を聞くと、本邦では軽度外傷性脳損傷mild traumatic brain injury(mild TBI)という脳疾患は医療の世界でほとんど関心を払われてこなかったことがわかり、このたび自らの経験を公表することにしたものである。

【軽度外傷性脳損傷 「序」より抜粋】

石橋 徹 (整形外科)
【略歴】
慶応義塾大学卒業
慶応義塾大学整形外科学教室入局
国立栃木病院
東京都立大塚病院
独立行政法人国立病院機構東京医療センター等に勤務
平成17年1月湖南病院勤務(院長)
平成20年7月湖南病院名誉院長

【資格・専門分野】
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会脊椎・脊髄病医
日本整形外科学会リウマチ医
 長年、都立大塚病院臨床研究部、国立病院機構東京医療センター臨床研究センターに所属して、セラミック製全人工肩関節の開発(日本メディカルマテリアル株式会社と技術提携)、反射性交感神経性ジストロフィーの病態の解明、頚椎不安定症の病態の解明を行う。既に開発した全人工肩関節は現在本邦で一番使われている。反射性交感神経性ジストロフィーに見られる運動障害の病態の解明は、同疾患の早期診断、早期治療に役立っている。
【コメント】
 現在、軽度外傷性脳損傷の被災者の救済に力を入れている。本邦では「鞭打ち損傷は頚椎の疾患である」という考えを持つ医師が多い。ところが、鞭打ち損傷では頚椎が異常な動きをして脳に負担を掛けるために、軽度外傷性脳損傷 mild traumatic brain injury ( mildTBI )という脳の病気が起きることがある。この病気は毎年世界で1000万人が罹ると推定されるほど頻度の高い病気であるが、本邦では殆ど注目されておらず、知られていない。本邦では、この病気の被災者は、通常の鞭打ち損傷と診断されて脳障害は見過ごされやすい。この病気の究極の治療法は再生医療であるが、現在この病気のために家庭復帰や社会復帰が出来ない方々に対して医療と福祉の両面から支援が必要である。
 軽度外傷性脳損傷は、脳の中で軸索と呼ばれる神経線維があちこちで機能しなくなり、脳の中で一種の停電が起ることであり、それによって起る症状は、記憶力や理解力が衰えたり、根気がなく、怒りっぽくなったり、失神や痙攣発作が起きたり、脳神経が麻痺して臭いや味が分からなくなったり、目が見え難くなったり、耳が聞こえ難くなったり、手足の運動や感覚が麻痺して、箸が使い難くなったり、歩き難くなったりと様々である。さらに排尿や排便にも支障を来すことがあり、社会生活へ影響してくる。この病気を診断するには、脳・脊髄・末梢神経を丁寧に診察することだが、脳症状に関連する各診療科、眼科、耳鼻科、泌尿器科の検査を受けると病気が詳しく分かる。この病気では通常のMRIでは画像に異常が出ないことが多く、そのため気のせいにされたり、心身症にされやすいので要注意である。この軽度外傷性脳損傷に関しては、本年2月20日に金原出版株式会社(TEL:03-3811-7184)のSCOMシリーズのひとつとして、同名の著作を出版した。さらに、本年3月6日に「軽度外傷性脳損傷友の会」が結成され、本部がひらの亀戸ひまわり診療所(東京、TEL:03-5609-1823)に置かれている。尚、友の会結成の様子は3月6日、3月8日の両日にNHK総合テレビでも放送された。
【医療法人(社団)白峰会 ホームページより転載】
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